漆喰とは「快適な湿度に室内を調整したり」「空気中のウイルスを殺菌してくれる」といった性能を持ち、耐久性にも優れた壁材です。
最近ではコロナ禍に伴い、漆喰がもつ空気中の除菌効果や壁に付いている菌を殺菌する効果にも注目が集まっています。
今回は自然素材100%の漆喰を作っているロハスウォールが、当社の漆喰を元に「特徴」「用途」「施工事例」「メリット・デメリット」について解説します。
この記事を読んで分かること
- 漆喰について徹底解説
- 漆喰を使った施工事例を紹介
- 漆喰のメリット・デメリットを徹底公開!
- 漆喰の種類と自然素材の見極める方法について
- 漆喰を使った施工方法と珪藻土と比べてどっちがいいのか?
について、それぞれ詳しく自然素材 漆喰の専門メーカーとして76年以上もやってきたプロの職人が解説します。
もくじ
漆喰とは何なのか?
漆喰は塗り壁の壁材として使われ、このような壁を漆喰壁といいます。
漆喰は消石灰(水酸化カルシウム)という石灰石を焼いて水を加えたものを主原料とした塗り壁材です。

消石灰の他にも、スサやのり、骨材なども混ぜて作られます。
漆喰の原料について詳しく知りたい方はコチラの記事もご覧ください。
〉漆喰の原料とは?自然素材やF☆☆☆☆漆喰、ローラータイプの原料の違い

また、この記事の中でも詳しく説明していきますが、漆喰を壁材として使うことで
- 調湿性
- 消臭性
- 抗菌性
- 耐久性
- 防火性
- 光拡散性
- 保温
- 防音
- 反響
などの様々な特徴があります。
漆喰の原材料である石灰石は自然素材であるため、環境に優しいことも特徴の1つです。
自然から作られる壁材ということもあり、日本でも古くから使われている実績のある建築資材で、お城の壁などに使われていることでも知られています。
ただし、近年の販売されている漆喰の中には、漆喰を作る工程で化学合成接着剤でかさましされているものも多くあります。
このような漆喰は、自然素材だけの本来の漆喰の特徴を発揮しきれないため注意が必要です。
漆喰を使った施工事例を紹介
ここでは漆喰を使った施工事例を5つ紹介します。

費用 | 540,000円(諸費用込み) |
広さ | 70平米 |
築年数 | 新築 |
備考 | 新築マンション購入時に漆喰DIYリフォーム |

費用 | 1,600,000円(諸費用込み) |
広さ | 71平米 |
築年数 | 3年 |
備考 | 中古マンション購入時に
漆喰リノベーション(プロが施工) |

費用 | 1,000,000円(諸費用込み) |
広さ | 72平米 |
築年数 | 15年 |
備考 | マンションを漆喰DIYにてリノベーション |

費用 | 750,000円(諸費用込み) |
広さ | 150平米 |
築年数 | 江戸時代末期 |
備考 | 古民家をリノベーション時に壁と天井を漆喰DIY |

費用 | 140,000円(諸費用込み) |
広さ | 30平米 |
築年数 | 昭和初期 |
備考 | 昭和初期の古民家を焼肉屋さんにリノベーション時に漆喰DIY |
その他の漆喰を使った施工事例はこちらでも紹介しています。
漆喰を使うメリット・デメリットについて
漆喰を使うメリット
- 調湿性がある
- 消臭力が高い
- 抗菌性が高い
漆喰を使うデメリット
- 壁紙に比べて金額が高い
漆喰には上記のようなメリット・デメリットがあります。それぞれについて説明していきます。

漆喰にはお部屋の湿度を調節してくれる調湿効果があります。
漆喰には細かな穴がたくさん空いている「多孔質」といわれる構造になっています。
そのため、空気中の湿気を吸い、空気が乾燥すれば空気中に水分を放出します。
よって室内に塗ることで年中通して快適で過ごしやすい環境を作ることができます。
また、この調湿効果によって湿気の多い時期にはカビやダニ等の発生を抑制できるといった効果も期待できます。

さらに、漆喰は消臭力も高いため、この点でも快適で過ごしやすい環境を作ることができます。
消臭力が高いとされる理由として、漆喰は強アルカリ性(ph12.6)の性質をもっています。
そのため、漆喰が吸い込んだニオイ成分を含んだ空気は、漆喰の強アルカリ性によってニオイ成分がは無臭の成分に分解されます。
実際にトイレのニオイや食べ物のニオイ、玄関やペットなどの生活臭が気にならなくなった、中古の家を買う方には「前の居住者の匂いが消えた」という声をいただいております。

また、漆喰の強アルカリ性といった性質はニオイ成分を無臭の成分に分解してくれるだけではなく、空気中のウイルスを殺菌するような効果も期待できます。
そのため、漆喰は抗菌性をもった壁材としてもコロナ禍の今、さらに注目されています。
漆喰の強アルカリ性は風邪ウィルス、インフルエンザ、エボラ、新型コロナなど他多数のウイルスの働きを弱める効果があります。
また、最近ではビニールクロスなどに含まれる化学物質によるシックハウス症候群といった健康被害が問題になっていますが、
漆喰はウイルスだけに限らずこういったシックハウス症候群の原因物質を吸収し分解して、無害化していく効果もあります。
これら以外にも漆喰のメリットは
- 耐久性が高い
- 断熱効果
- 防火性が高い
- 防音効果
といったようなことがあります。
これらのメリットについてはこちらで詳しく解説しています。
>漆喰のメリット、耐久性と断熱性、防火性、防音効果をプロが解説します。


ここまで漆喰のメリットについて説明しましたが、デメリットもあります。
漆喰は一般的に多く使われているビニールクロスなどの壁紙に比べて、材料費や施工費が高いということです。
漆喰は主原料である消石灰が自然素材であることや、
施工時には養生やコテを使って塗った後に乾かす必要があるため、どうしてもビニールクロスといったような貼るだけの壁紙と比べると、工期が長くなってしまい施工費用が高くなります。
漆喰の種類について紹介します
漆喰と一言にいっても大きく下記の2種類に分けることができます。
F☆☆☆☆の漆喰
100%自然素材の漆喰
それぞれのメリット・デメリットについて説明します。
F☆☆☆☆の漆喰
F☆☆☆☆の漆喰は、原料に化学物質を含みます。
ちなみに、F☆☆☆☆はこの規格の中でホルムアルデヒドの放散量が 0.12mg/l 以下の製品であることを示します。
メリット
- 自然素材の漆喰に比べ価格が安い
デメリット
- 自然素材の漆喰に比べ性能が低い
- 健康被害のリスクがある
F☆☆☆☆の漆喰は自然素材の漆喰に比べ価格が安いですが、性能面で劣り化学合成樹脂による健康被害のリスクがあります。
また、商品パッケージにF☆☆☆☆(エフ・フォースター)の表記があるため、この表記だけでF☆☆☆☆の化学物質が入った漆喰であると簡単に判断ができます。

100%自然素材の漆喰
化学物質の入っていない100%自然素材の漆喰です。
メリット
- 性能が高い
- 健康被害のリスクがない
デメリット
- 価格が接着剤入り漆喰に比べ高い
化学物質を使って、原材料からかさ増しなどをしていないので、漆喰が本来もつ調湿性、消臭性、抗菌性といった効果を発揮します。
F☆☆☆☆の漆喰のように化学物質を含むことで、化学物質である樹脂が劣化し、時間が経つと粉を吹き、漆喰壁にひびが入り、塗り直しが必要になることがあります。
一方で、自然素材の漆喰であれば、時間の経過と共にどんどん硬化していくため、そのような心配もありません。
F☆☆☆☆漆喰のメリット・デメリット、自然素材の漆喰との違いについてプロが教えます

漆喰と珪藻土の違いについて

漆喰 | 珪藻土 | |
特徴 | 火に強い | 調湿性が高い |
価格(材料費) | ¥1,000〜3,000/㎡ | ¥1,000〜4,000/㎡ |
塗る場所の特徴 | 室内と外壁 | 室内 |
施工費用 | 7,000円〜15,000円/㎡ | |
廃棄処理 | 自治体による |
珪藻土の最大の特徴として「調湿性能」がとても優れているといった点があげられます。
そのため、湿度や結露が多い場合には珪藻土を塗るといった考え方が一般的です。
一方で漆喰も、珪藻土には劣りますが「漆喰のメリット」でも説明したように「調湿性能」が優れた壁材です。
また、漆喰は珪藻土やその他の壁材と比べても
「消臭性」「抗菌性」「耐久性」「防火性」「光拡散性」「保温」「防音」「反響」など様々な点で優れています。
その他、漆喰と珪藻土は仕上がりの素材感にも少し違いがあり、漆喰は「表面がなめらかな仕上がり」、珪藻土は「ザラっとした肌触り」といった違いがあります。
漆喰と珪藻土について「性能面」「価格面」「塗る場所」「DIYの難易度」「施工事例」などの違いについて、こちらで詳しく説明しています。
漆喰と珪藻土の違いって何なの?正しい塗り壁材の選び方教えます
漆喰とビニールクロス、土壁などの違いについて
漆喰↓

ビニールクロス↓

土壁↓

耐久性 | 抗菌性 | 光拡散性 | 防火性 | 調湿性 | 消臭性 | 防音・吸湿性 | 施工性 | |
ビニールクロス | △ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ |
土壁 | △ | △ | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
漆喰 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
ビニールクロス
ビニールクロスは、価格が安く施工性が良いといった特徴があります。
そのため施工の手間が掛からず、漆喰や土壁と比べても工期が短く済みます。
近年ではビニールクロスの普及率は90%以上と言われていて、実際にほとんどの家やお店といった建物では、ビニールクロスが使用されているのが見て取れます。
しかし、漆喰や土壁と比べて壁材としての機能は期待できません。
また、化学物質で作られている壁材であるため、シックハウス症候群などの健康面での危険性もあります。
土壁
土壁は「防火性」「調湿性」「消臭」といった壁材としての機能性が高い壁材です。
ネットなどでよく「土壁は自然素材なので、ビニールクロスのようにシックハウス症候群といった健康被害の心配がない」という説明があります。
しかし、ほとんどの壁材は土を壁に固めるために化学合成接着が使われており、完全な自然素材としての壁材ではないため、健康被害のリスクを有すため注意が必要です。
漆喰
漆喰は土壁の「防火性」「調湿性」「消臭」といった性能に加え、
「耐久性」や「抗菌効果」などの点でも壁材として優れています。
二酸化炭素を吸収することで硬くなる性質を持っており、耐久年数は100年を超えるとまで言われています。
また、強アルカリ性といった特徴から空気中のウイルスを殺菌してくれるといった特徴があります。
漆喰を使った施工方法の紹介
漆喰は下記の5つのステップで施工します。
- 準備
- 下地処理
- 漆喰を塗る
- 仕上げ塗り
- 片付け
これらそれぞれについて詳しく解説していきます。
ステップ1:準備

漆喰を塗っていくためには、材料である漆喰以外にも道具が必要です。
先ずは、下地処理や漆喰を塗るための道具を準備します。
これらが準備できれば、次は養生を行います。
また、粉漆喰から塗装する場合には、水などで練り漆喰を作っておく必要があります。
砂壁を参考に動画で養生の方法を解説しています。
ステップ2 下地処理

漆喰を塗る前に下地の種類と状態を確認します。
基本的に汚れがないかや、凹みや穴、窪みなどがないかを確認します。
漆喰を塗る段階で塗装面が平坦でなければ、漆喰を塗った後も後が残ったり、漆喰が乾くスピードは場所によって異なってくるためムラになったります。
そのため、必要であればしっかりと補修してあげる必要があります。
補修方法は下記の動画を参考にしてください。
次にシーラーを塗ります。
シーラーは下地と漆喰の接着剤の役割を果たし、耐久性を高めます。
シーラーを選ぶ際には、漆喰メーカーが指定するものがありますので、必ず確認して漆喰メーカーの指定するシーラーを選ぶ必要があります。
ガードシーラーの塗り方・使い方はこちらの動画を参考にしてください。
シーラーが塗り終わったら、メーカーの指示通りの時間乾かしてから、次の工程に進みます。
ステップ3 漆喰を塗る

下地処理が終われば、次は下塗り用の漆喰を塗っていきます。
ここではできるだけ表面をフラットになるように塗っていきましょう。
多少見た目が悪くても仕上げ塗りでもう一度塗るため、カバーすることは可能です。
塗り方はこちらの動画で紹介しています。
ステップ4 仕上げ塗り
下塗り用の漆喰での塗装がある程度乾いたら、次に仕上げ用の漆喰を塗っていきます。
下塗りと要領は一緒ですが、ここでは表面を整えつつ、コテで自分の好きな模様を付けていきます。
模様の付け方はこちら動画でご確認ください。
ステップ5 片付け
漆喰をすべて塗り終わったら、漆喰が完全に乾き切らない内に養生のマスキングテープをはがします。漆喰が乾いてからだと、固まっている箇所が剥がしにくいためです。
その他、後片付けを進め、壁を乾かしていきます。
メーカーの指定する期間乾かす必要はありますが、天気や季節によっても多少異なります。
漆喰のDIYに関してはコチラの記事でも詳しく解説しています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
漆喰とは抗菌性が高く、消臭力も高い自然素材でできた壁材です。
この壁材を使ってリビングや寝室だったり、子供部屋、加齢など独特な臭いが強い部屋に塗っている方が多くいらっしゃいます。
またF☆☆☆☆といった微量の化学物質が入っている準自然の漆喰をはじめ、ペンキのように塗れる化学物質が主体の漆喰など、様々な種類の漆喰を紹介しました。
もし本物の自然素材100%でできた天然の漆喰を触ってみたい、家の壁に塗ってみたいと思いましたら、お気軽に下記の資料請求(無料)や無料相談会、漆喰DIY教室にお越しください。